食事で人生を変えた人・2


S.T.さん、男性、46歳:

Sさんの一番の心配は、高コレステロール値でした。数名の親類が心臓発作で亡くなっていたので、自分の健康には自然と関心を持つようになっていました。 ダイエタリー・ヒーリングを知る6ヶ月前のこと、Sさんは、ある栄養関係の講義を聞いて、動物性タンパク質をすべてやめ、たっぷりの果物と野菜サラダ、全粒穀物、これを自分の食事にしようと決めました。ところが、コレステロール値は下がったものの、基準値内の高い数値からは変化が無く、この食事を続ける気力を無くしていました。

 

当時のSさんの食事は、つぎのようなものでした。午前中は果物のみ。昼食は、全粒パンに野菜サラダを挟んだサンドイッチ。夕方近くなると甘いものが欲しくなるので、フルーツバーを少しとデニッシュパン。よくチョコレートが食べたくなる。コーヒーは最小限にと思いつつ、毎日2杯は必ず飲む。夕食は、仕事から帰る夜9時頃で、スープ、ご飯、野菜。

 

12歳のときに扁桃摘出術を受けており、十代はにきびに悩まされていました。大人になってからも皮膚が敏感で、治療を受けた水虫も治っていません。ここ数年は、呼吸が苦しい感じになっていました。Sさんの血糖値はとても不安定で、それが午後のスイーツ欲につながっていました。ストレスと血糖値に対する体の反応は、エネルギー源としての脂肪をかき集めることなので、これが長期間続けば、血中脂質を高めて肝臓に鬱滞を招きます。午前中に果物を食べると、この状況をより悪化させることになり、果物では血糖を上げて安定化させることもできません。果糖(フルクトース)は、トリグリセリド合成のために優先的に代謝されます。午前中の血糖値は自然に低い状態で、このときに肝臓の糖貯蔵が補給されなければ、体は自分自身を分解してエネルギーを生み出さなければなりません。

 

Sさんは、マグネシウムが豊富な食品(全粒穀物、ナッツ、豆科野菜)を食事に導入しました。これらは、それまでのSさんの食事に抜けていた価値あるタンパク質を供給し、肝臓の浄化に必要な繊維も豊富で、コレステロールを胆汁酸に変換して除去するのを刺激します。Sさんは、1日3食になり、朝食を抜かず、乳製品を止め、週に2食の魚料理を加えました。サーモンやマグロのような脂ののった魚です。マグネシウム、ビタミンC、EPA(オメガ3系)のサプリメントも最初のうちは使用しました。

 

その後の5ヶ月間、Sさんはほとんどの食事計画を守り、肝臓は少しずつ解毒されていきました。子供の頃から肝臓の鬱滞に由来する症状があったので、扁桃摘出後は皮膚に負担がかかっていました。水虫の再発は、病原菌や真菌が皮膚や粘膜で成長するのに都合が良い酸性度の強さを示しています。Sさんの皮膚の敏感さは、ストレスに関係していて、痛みや乾湿疹として出現し、いろいろな医薬品クリームで抑えられてきました。しかし、Sさんの病歴は新たな段階へ進み、近頃では呼吸困難を経験するようになっていました。病状が深くなるに従い、肝臓の鬱滞と皮膚や肺のつながりがだんだん明らかになってきたのです。

 

Sさんは5ヶ月でコレステロール値も低下しました。湿疹と水虫は解消され、呼吸の苦しさも無くなりました。食事プログラムの実行中、セレニウム、ビタミンE、ホスファチジルコリンを使い、肝臓の浄化を促すようにしました。亜鉛も加えて皮膚の回復を助けました。その後は、EPAのサプリメント、食物繊維が豊富な食事、マグネシウムが豊富な食品に注意して食事を続けています。